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大人のまち、コザの音楽に浸る

 

我々の世代についてカッコいい言い方をすれば「酸いも甘いもかみしめた」となるが、直球だと「人生に少々くたびれた世代」となり、世間ではこれを大人と呼ぶ。

 

その意味では、沖縄県沖縄市の、今では地名すらないコザのまちは、隣人(アメリカ)との歴史を積み重ねてきた大人のまちといえるかもかもしれない。

我々の世代についてカッコいい言い方をすれば「酸いも甘いもかみしめた」となるが、直球だと「人生に少々くたびれた世代」となり、世間ではこれを大人と呼ぶ。

その意味では、沖縄県沖縄市の、今では地名すらないコザのまちは、隣人(アメリカ)との歴史を積み重ねてきた大人のまちといえるかもかもしれない。


沖縄のディープタウン・コザで
スタジアム・アーティストではなくライブハウスで活躍しているサブカル系ミュージシャンの音楽が好きだというUさんは、東京でのライブハウス巡りを沖縄にシフトした。すでに何度も来沖している。

ところが、コザには来たことが無かった。

「音楽が盛んだということは知っていますが、敷居が高くて踏み込めない雰囲気があります。店も入りにくそうですしね」

そこでUさんを、コザの夜に案内した。

 

 

 

 

 

 

心に響く音楽は腐らない
まずはゲート通りのOCEAN。ギロっとした目で睨みつけるかのような顔つきながら、実は心優しいヤッシーが、初めて訪れたUさんを歓迎して一曲歌ってくれた。しばしのユンタクも楽しい。

続いてパークアベニューのGitaneへ。チャージフリーで地元のバンドがやっていた。客席を見わたすと、大人世代が多い。アメリカ人と共に週末の夜を楽しんでいる。



〆は、老舗のロックバーJETである。1970~90年代のハードロックミュージックを得意とするハウスバンドJETの本拠地だ。今もなおバリバリのとんがった音を聞かせてくれる。

これらの楽曲は、若い世代からすればハードではなくオールディーズなクラシックロックかもしれない。しかし、優れた芸術や文芸作品がいつ見ても、いつ読んでも新鮮であるのと同じく、良い音楽には賞味期限が無い。


「中学生のころを思い出しました。当時僕は、紫というバンドの影響を受けて音楽を始めたんですよ。」というUさん。

それは、とうの昔の出来事。誰もが何かに熱中した、若かった時のこと。Uさんの脳裏の、記憶領域の隅っこに忘れ去られていた時代が、鮮やかによみがえったかのような、興奮した口ぶりである。

「紫は今も活動中であり、ホームタウン(7th Heaven KOZA)がコザにある」ことを伝えると、Uさんは驚いた。まさかそんなはずはないと思い、インターネットで検索すらしたことが無かったのだと言う。

最後まで人生をあきらめない
我々大人たちは、色んなものを失って、夢をあきらめて、今を築き上げてきた。棺桶に片足を突っ込む時期が来て初めて、失ったものの大きさと、その価値に気づくのだ。

今回、Uさんが味わった感動は、もしかしたら、青春時代に対するノスタルジィかもしれない。かといってコザのまちは、時間を止めているわけではない。少しずつ新しいものを取り入れて、変化し続けている。ただ、当時そのままに今も、音楽と共に生きる人たちがいる。

人混みが苦手なUさんにとって、コザとは、音楽を楽しむ場としてだけではなく、人との距離感が心地よいまちでもあったようだ。再会を約束して別れた。



「私はね、生活のために音楽を止めたんですよ。サラリーマンになりました。そうやって家族を養ってきたんです。ところがここには、やめなかった人たちがいた。励まされましたし元気になりました。年だからと、諦めてはいかんですね」

確か、そう言ったのは、東京から来た60歳のYさんだった。(文と写真・鈴木雅子)

コザの夜を100%楽しむために
現在コザでは、リアルな音楽の良さを1人でも多くの人に感じてもらうため、チャージフリーの平日ライブを実施している。コザの夜は初めてという方にもぴったりだ。ライブスケジュールやライブハウス情報は、下記サイトで確認できる。

コザのライブハウス紹介
毎日無料ライブを楽しむ
ミュージックタウン音市場のスケジュール


地元ガイドが一緒に遊びながら案内するコザナイトツアーもある。個人旅行からグループ旅行まで多様に対応できるので、ディープタウン・コザを地元流に楽しんでみたい人にぴったり。

※開催 毎週金・土曜日実施 
※時間 19時頃~約3時間30分
※料金 3000円~3500円(最少催行2名~)
※電話 098-939-4845(コザインフォメーションセンター)